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上海の夜を彩るネオンサイン

上海の夜を彩るネオンサイン

上海的な光景のひとつともいえる、独特でタイポグラフィカルなネオンサインを紹介する

2012/01/25

レポーター:東野 創

ネオンサインというと、新宿の靖国通りや歌舞伎町一番街のゲートから見えるネオン街の光景を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。そういったネオン街は、日本的な光景のひとつとして海外のメディア等でしばしば取り上げられています。ここ上海のネオンサインもまた独特な感性で制作されており、ネオンの集まる街角は上海的な光景のひとつと言っていいでしょう。それでは、夜の上海の街で目にしたタイポグラフィカルなネオンサインをご紹介します。

看板の箱文字が光るタイプ

長屋タイプの商店街の小規模な飲食店に多いのが、看板の箱文字が発光するタイプのサインです。暗い背景に文字が浮かび上がり、コントラストが強く視認性も高いです。日本のネオンサインと比較すると、上海ではこれら箱文字等の立体文字の使用率が高いと思います。

  • 黄色の文字がウイグル料理店の看板
    黄色の文字がウイグル料理店の看板。その下の白文字は宝飾品を扱う店の看板。左のシンボルマークのようなイラストの下にはウイグル文字が掲げられています。
  • 北朝鮮料理店
    北朝鮮料理店。三ヶ国語がそれぞれ色分けられ記載されています。
  • 酸辣湯と焼き餃子が有名な店
    酸辣湯と焼き餃子が有名な店。台湾発のこの店のロゴは、ややスタイリッシュな印象を受けます。
  • 数店舗が入っている建物
    数店舗が入っている建物。二階三階の蛙料理と四川料理の店の黄色い文字が目立っています。
  • カラオケ店
    カラオケ店。LEDで作られた文字は、色が波紋のように変化します。
  • マッサージ店
    マッサージ店。竜のイラストや多色使いの文字やラインは、いかにも中国といった印象を受けます。

建物がネオンで覆われるタイプ

ネオン管のライン等で輪郭や壁面が飾られた建物も良く見かけます。やはりここでも青×黄あるいはピンクのような派手な色が好まれるようです。

  • 上海料理店
    上海料理店。建物を囲むように水平方向意にネオンのラインが走っています。
  • 電化製品専門のデパート
    電化製品専門のデパート。輪郭が光っています。
  • お茶市場の門
    お茶市場の門です。屋根の輪郭に沿って波打ちながら電飾が施されています。

背景の色調が変化するタイプ

上海では、文字の背景部分の色調が変化するネオンサインも多く、とても目立ちます。変化のパターンは様々ですが、3色4色と多くの色が使われているケースがほとんどです。

例えば、写真右の四川料理店の看板(右側の4文字)は、背景の四角いパターンが変化します。ヴィジュアルデザインにおいて、日本と比べより多くの色を盛り込む傾向がある中国では、さまざまな色に変化するネオンサインは大変好まれて使用されているようです。

四川料理店の看板
四川料理店の看板(右側の4文字)。背景の四角いパターンが変化します。
  • 美容整形外科の看板
    美容整形外科の看板。文字の背景が七色に変化します。
  • 旅館の看板
    旅館の看板。背景のラインの色が変化します。
  • 上海料理の店
    上海料理の店。背景の多色のネオンが変化します。

大きくてインパクトのあるタイプ

最後に、その他のインパクトのあるネオンサインを紹介します。闇夜に浮かび上がる巨大な漢字群は圧巻です。右の写真は、ナイトクラブの看板。写真の左下に写っているショーウインドウの明かりと比べてみても、その巨大さがわかります。
いかがでしたか?日本のネオンとは違う独特な派手さを感じていただけたでしょうか?ファミコン世代の自分の目には、ファミコン等のレトロなビデオゲームのビジュアルと重なって映ることもあるのですが、皆様はどのような印象を持たれましたか?
もし上海にお越しになる機会があれば、是非夜の街を歩いてみてください。きっと面白いネオンサインが見つかることと思います。

ナイトクラブの看板
ナイトクラブの看板。使用できる色を全て使用したかのような派手さです。シンメトリックな形状は蓮の花がモチーフなのでしょうか。シューティングゲームのボスキャラの様でもあります。
  • 球形の建物
    徐家匯という上海随一のショッピングエリアにある有名な球形の建物。さまざまな文字が表示されます。「2011」の文字。なかなかのインパクトです。
  • 「夢在上海」というナイトクラブの看板
    「夢在上海」というナイトクラブの看板。歓楽街ではないエリアに突如としてあらわれるこのネオンサインはインパクト大です。
  • ドーム型の体育館とその周囲の景観
    ドーム型の体育館とその周囲の景観。ここに収まるすべての建物が電飾で覆われています。

Profile

東野 創

東野 創/デザイナー

1979年東京都生まれ。東京造形大学卒業。
デザイン制作会社での勤務を経たのち、2006年に上海に渡る。現地制作会社マネージャー、北京博報堂ディレクターを経て、2011年より個人活動を開始。