レポート イベント、アートフェス、見本市、新店舗など、編集部目線でレポート

Dhaka International Trade Fair 2014

Dhaka International Trade Fair 2014

バングラデシュの首都ダッカで毎年開催される国際トレードショーをレポート

2014/03/19

レポーター:河野 洋一郎

今年で19回目となるDhaka International Trade Fair(以下DITF)がバングラデシュの首都ダッカで1月1日から31日の期間開催されました。毎年、バングラデシュ国内外から企業が出展し、多くの人が訪れます。

家具メーカーNADIAのパビリオン。入口横の椅子と木材で作ったモニュメントが印象的
家具メーカーNADIAのパビリオン。入口横の椅子と木材で作ったモニュメントが印象的

パビリオンと店舗ブースが立ち並ぶDITF会場

DITFには、バングラデシュ国内での市場拡大を目的として出展している海外企業、バングラデシュ農村部から首都ダッカでビジネスチャンスをつかむために訪れている企業、このイベントに便乗し販売を目的としている企業などが多く出展しています。

出展形態には2種類あり、パビリオンと小規模店舗に分かれています。今回のDITFでは146のパビリオンブース、305の小規模店舗ブースが設置されていました。しかし、海外からの出展の為に設けられたエリアに空きブースが目立ちました。今年は5年に1度のバングラデシュ総選挙の影響により、国内ではホルタル(ゼネラルストライキ)や道路封鎖(主要道路、鉄道等の交通機関の封鎖)が起きていたので、その影響もあり例年よりも海外からの出展が少なかったようです。

DITFでは、家具・家電・食料品・衣料品の出展が特に多く見られますが、衣料品の生地1枚から高級家電・車まで生活必需品のほとんどを揃えることができます。海外からは日本・シンガポールの家電メーカー、タイ・インド・トルコの小物や衣料品メーカーが出展していました。通常の展示会では企業対企業の仕入れのやりとりが多いのですが、DITFでは会場で商品を安価で購入することができるため、一般市民も多く来場しています。大きな荷物を手に持ち、掘り出し物を探す人の姿も見られました。値引きをしてくれる小規模店舗もあるので値段交渉もDITFの楽しみ方の一つかもしれません。

また、企業アピールのため各パビリオンともデザインを競い合うように工夫を凝らしています。バングラデシュらしく原色を多用したデザインやモスクをイメージしたものもありました。パビリオンのデザインを見るだけでも楽しむことができると思います。

食品を扱うPRANのカラフルなパビリオン
食品を扱うPRANのカラフルなパビリオン
モスクをイメージしたようなパビリオンで異彩を放っていたIslami Bank Bangladesh(銀行)
モスクをイメージしたようなパビリオンで異彩を放っていたIslami Bank Bangladesh(銀行)

DITFで見えるバングラデシュの国民性

DITFの会場を歩いていると日本では見ることのできない光景を目の当たりにします。DITFの会期が終わりに近づいているのにも関わらず、未だに工事中の場所があるのです。日本ではあまり考えられませんが、バングラデシュでは期限通りに仕事をするということに囚われず、マイペースな人が多いように感じます。そのため納期やスケジュールといったものをあまり気にせず仕事が進められることが多々あります。

また、道路や敷地内は舗装されずにゴミも散らかっています。しかし、店舗内やパビリオン内はきれいに清掃されていました。身近な場所を清潔に保つという意識は非常に高いのですが、公共のエリアに対する意識は低いようです。これはバングラデシュの街中を歩いていても同じことを感じると思います。また、バングラデシュの人々は気さくで外国人が珍しいのか、会場を歩いていると笑顔で話しかけられることが多くあります。少し話しをしただけで周囲をバングラデシュ人に囲まれ、多くの人が見物しに集まってきます。悪気は全くないようで、本当に人懐っこい国民性が見てとれます。DITFに来ればバングラデシュのさまざまな部分が見えてくるかもしれません。

小規模店舗(靴屋)のブース。スペースを最大限に生かした並べ方は圧巻
小規模店舗(靴屋)のブース。スペースを最大限に生かした並べ方は圧巻
多くの人でにぎわっているが、ゴミがあちこちに散らかっているので清掃員も大変そう
多くの人でにぎわっているが、ゴミがあちこちに散らかっているので清掃員も大変そう

Profile

河野 洋一郎

河野 洋一郎/1級建築士

1984年生まれ。立命館大学建築都市デザイン学科卒業後、積水ハウス株式会社へ入社。
2013年より青年海外協力隊・建築隊員としてバングラデシュ政府、住宅・公共事業省、建築局で活動中。